バブル崩壊後も年間二○万戸
ドイツでは七七年以降の新築物件は、全面的に外断熱が採り入れられるようになった。その 波は、アジアにも及び、中国・上海にはドイツ屈指の外断熱メーカーが工場を構え、法人を立 ち上げた。急成長するアジア市場の開拓を狙っている。 内と外、この差は天動説と地動説くらいの開きがある。 近年、日本でも建築関係者の間で、「外断熱か、内断熱か」という議論が起こった。 それを眺めていて、もどかしさを禁じえなかった。ことの本質は、住人の生活に直結すると ころにあるはずなのにコップのなかの嵐としか映らなかった。 わたしたち一般の生活者が、内か外かを選べる可能性は限りなくゼロにちかい。建設業界が 冷えこむなか、バブル崩壊後も年間二○万戸以上のマンション供給がつづいているが、圧倒的 に内断熱が多いから選択の余地がないのである。 メニューに加えないでいて「ユーザーに支持されない」もないだろう。 政府が構造改革の柱とする市場競争に参戦する前に、外断熱はリングから退場を命じられて いるようなものだ。 これは、いびつな構図ではないか。取材を始めた原点は、そこにある。 外であれ、内であれ、業界発の情報ばかりで、生活者がその議論の輪に加わることすらでき ない状態だった。